答えられる道

3/15
前へ
/60ページ
次へ
俺は男の前に立たされていた。 大きめの椅子に座る初老の男の前に。 この妙な威圧感がある男は紫子の父親だ。 「なんの用だ?」 「紫子に謝るために」 「許してもらえる確証があるのか?」 「許してもらえなければ人生を賭けて償うだけです」 「そんなに言ってもらって紫子は幸せだな。君なら紫子の部屋わかるだろ?」 「ええ」 あちこち変わったものの基本的な部屋は変わってない。 置物とかは変わってる。 ただし、人の心は変わってないだろう。 必死に語りかければいつかは動くかもしれない。 俺はそう期待を込めて彼女の部屋をノックした。 返事がしたので驚きつつも扉を開けた。 「しゅうくん」 そこには美人がいて、こちらを見ていた。 長い黒髪は綺麗に整っていて、物腰の柔らかそうな雰囲気が漂っている。 絶世の美女と呼んでも過言ではないお嬢様がそこにいたのだ。 「しゅうくん!」 「うわ、抱きつくな。汚いから」 「あ、本当だ。お風呂入ってきなよ」
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加