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俺は男の前に立たされていた。
大きめの椅子に座る初老の男の前に。
この妙な威圧感がある男は紫子の父親だ。
「なんの用だ?」
「紫子に謝るために」
「許してもらえる確証があるのか?」
「許してもらえなければ人生を賭けて償うだけです」
「そんなに言ってもらって紫子は幸せだな。君なら紫子の部屋わかるだろ?」
「ええ」
あちこち変わったものの基本的な部屋は変わってない。
置物とかは変わってる。
ただし、人の心は変わってないだろう。
必死に語りかければいつかは動くかもしれない。
俺はそう期待を込めて彼女の部屋をノックした。
返事がしたので驚きつつも扉を開けた。
「しゅうくん」
そこには美人がいて、こちらを見ていた。
長い黒髪は綺麗に整っていて、物腰の柔らかそうな雰囲気が漂っている。
絶世の美女と呼んでも過言ではないお嬢様がそこにいたのだ。
「しゅうくん!」
「うわ、抱きつくな。汚いから」
「あ、本当だ。お風呂入ってきなよ」
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