正される記憶

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「お前は能天気でアホだが純粋な心を持っている」 そうだ、今は6年前の2014年、高2の春だ。 そして下級生に手を出さない黒澤が初めて強引に自分のモノにした。 紫子を―― 「ちょ、ちょっと」 「見た目も美しい。スタイルはまあ、幼児体型だが」 「それは余計じゃない?」 「とにかく行くな。行ったら黒澤を殺す」 「……ありがとう。じゃあ断りに行くよ」 「行くな!」 「わ、わかったよ」 「先に帰ってろ。腹が痛い……」 「あ、うん、お大事に」 紫子はあいつにおかされた。 最初に聞いた時は侵されたという意味であるのか、それとも強引な性行為を指すのか、確認する気にはなれなかった。 百聞は一見にしかず、だ。 実際に目にしてわかった。 そして目の前で黒澤を殺し、紫子を俺が犯した。 そして紫子は精神が崩壊し、廃人のようになった。 頼っていた俺に裏切らたことが大きかったのだろう。
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