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3人は目的地に向かい、生い茂る木々の隙間を考えられない程の早さで移動している。
任務地の最前線であるライムコ平野までは、武闘士の足で約1日程度掛かる。一般人なら3日以上。
テリヤキはオッシー、モエコとチームを組んで初めての任務である。オッシーとは過去数回手合わせをした事があるテリヤキだが、モエコとは一度も無い・・・
「足を引っ張らないで下さいね」
先程モエコに言われた言葉をテリヤキは思い出した。中級武闘士と下級武闘士の間には実力もそうだが、任務経験にも開きがある。そんな事はテリヤキにも分かっていた。だが悔しかった。
そんなテリヤキの心中を見透かしたかの様にオッシーが、
「焦りは禁物。主は自分のやれる事を精一杯するのだ」
と、声を掛けた。そんなオッシーの言葉に無言でテリヤキが頷く。モエコは二人のやり取りをチラリと横目で見ていたが、突然両手で印を結び、小さな声で呪(しゅ)を唱え始めた。
それに気付いたオッシーとテリヤキは神経を集中させ辺りに気を配る。
「2時方向、750メートル先に敵の気が2つ有ります。それと10時方向、900メートル先には3つ・・・
気の強さは下級武闘士から中級武闘士程の者だけです」
正直、テリヤキにはまったくわからなかったし、神経を集中させてはいるが、そこまで詳しくは把握出来ない。多分、上級武闘士のオッシーも、モエコ程は把握出来ていない。そう考えると改めてテリヤキはモエコの能力の高さに驚いた。
「モエコの察知能力は、根虎衆でも1、2を争う実力・・・いくら拙者やバルクレーが頑張ろうが、足元にも及ばぬよ」
オッシーはテリヤキにモエコの察知能力の高さを教えた。テリヤキは驚いた眼差しでモエコを見ている。
そんなテリヤキを尻目に、モエコは呪を唱え、印を結んで気を放った。
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