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その資料には、『雷霧衆』の事が書かれてあった。どうやら親方の直筆らしいが、達筆なのか下手なのか分からない字で書かれており、テリヤキは読むのに苦労した。
しかし、他の二人はそんな親方の文字に慣れている為か、苦にはならないみたいだ。
「───うむ。黒影と言えば謎多き武闘士。それをよくぞここまで調べましたなぁ・・・」
感心したオッシーが髭を触りながら言うと、
「まぁ、私と彼は付き合いが長いですからねぇ」
と、親方が呟いた。その言葉が少し気になったテリヤキが親方に質問しようとしたが、
「雷霧衆がインドウに加勢したとなると、早急に手を打たなければなりませんね」
と言ったモエコの言葉に、テリヤキは質問するタイミングを失ってしまった。その為にテリヤキ口が親方の「お」の字を発する形のままで固まっている。
「何をふざけているのだテリヤキ」
そんな間抜けな顔をしたテリヤキを見たオッシーがすかさず突っ込みを入れた。
「───いや、ふざけている訳では無い」
悲しそうに呟いたテリヤキを横目に話しが進んでいく。
「私はこれからこの事を、国王に伝えに行きます。貴方達三人は、これから最前線に赴き、雷霧衆の相手をして頂きます。それから・・・」
親方は一旦話しを区切り、チラリと入り口の扉の方向に視線を向けた。
その視線を追い、三人も扉のほうに視線を向けたが、特にその方向には何も無く金属製の重い扉は固く閉じ、鈍く光を放っているだけであった。
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