任務

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「───入りなさい」 固く閉じた扉に向かい親方が声を掛けると、静かに物音も無く扉が開いて行く。開いた扉の向こうに三人の人間が立っていた。 一人目は身長が高く、ガッチリとした体格の青年。青い髪をしており、背中には長い剣を背負っている。 二人目は少し眠たそうな顔をしている青年。手には鉄製の少し大きめの手甲を着けている。 三人目はピンク色をした短い髪で目のぱっちりとした女の子。テリヤキと同じ位の年だと思われる。 「───来ましたね」 親方が新たに来た三人を招き入れた。三人は先にへやの中にいるテリヤキ達を見ると、 「お前らもいたのか?」 青い髪の男が言った。その隣で、ふわぁっともう一人の男が欠伸をしている。 「バルクレー、お主達も呼ばれたのか」 オッシーにバルクレーと呼ばれた青い髪の男は無言で頷いた。そんな様子を見ていた親方は、もう一度先程のテリヤキの話しと任務についての話しをバルクレー達に聞かせた。 「久し振りの任務だねバルクレー、ライモ」 嬉しそうに女の子が、バルクレーと、ライモと呼ばれた眠たそうな顔をした男に話し掛けた。 「嬉しそうやなぁ…ぷんちょは」 ぷんちょと呼ばれた女の子はえへへっと笑いながら頭をかいた。その仕草が子供っぽく見える。 しかし、親方が選んだ武闘士達である。見た目では判断出来ない。 テリヤキは心の中でそう呟きながらバルクレー達を見ている。他の二人はバルクレー達に面識が有るようだが、テリヤキにはまったく無い。 何故ならテリヤキは、武闘士養成機関から卒業し、今回の偵察が初任務だったからだ。
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