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「ふむ……、いいでしょう。活動場所、顧問、部員数、どれも要項を満たしています。次の生徒会で審議し、前期予算も出せるようにしてみせます」
自信満々にそう言ったのは、生徒会長の城ヶ崎だった。
「ありがとうございます。城ヶ崎先輩」
満面の笑みが二つ。
黒木は城ヶ崎が三年であることよりも以前に、場合によっては前期予算案に組み込まれなかったかもしれなかった、魔法科学部の予算だが、それを作ってくれると約束してくれた、その素晴らしき手腕に敬意を表していた。
「で、代わりと言っては何だけど、君には一つ二つ仕事をお願いしたいんだ」
短くセットされた黒い髪が爽やかな城ヶ崎は、ふとそんなことを言ってきた。
「仕事、ですか」
「簡単なことだよ。一つは新聞部の取材に応えること。聞けば、君は何度も取材を断っているそうじゃないか。この学校の顔なんだから、困るんだよね」
本当に困ったような顔をした城ヶ崎だが、この爽やかな顔で一体どれほどの女を泣かせてきたのか。黒木はそんなことを考えてみた。
「生徒会長の頼みとあらば……、まあ、それは許容しましょう」
「助かるよ。クレームを受けるのは何故か生徒会だからね。よろしく頼む」
「で、他にもあるようですが?」
黒木が訊ねると、城ヶ崎はバツが悪そうに眉を潜めた。
嫌な予感。即刻逃げ出したかったが、もう遅い。
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