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「最近、この校舎で困ったことが立て続けに起こってね……」
城ヶ崎はネクタイを締め直しながら言う。怪訝そうな顔をした黒木に、彼は続ける。
「夜、この校舎で誰かが何かをしている。一週間前には旧校舎のガラスが片っ端から割られ、昨日は中庭にミステリーサークルのような悪戯描きがあった」
「それを、俺達に調べろってことですか」
「生徒会は動けないんだ。先程の予算案の話もそうだが……、体育祭も近付いてるだろ? 忙しくてとても首が回らないんだ」
言い訳がましいなと黒木は思ったが、予算の為ならこれを引き受けるのもやぶさかではないと思った。
「……まあ、いいでしょう。解決とまではいかないかもしれませんが、調査くらいならばやれます」
「君は物わかりがよくて助かるよ」
にこっと微笑んだ彼だが、どう考えても断るようならば予算は出さないと脅迫している。目がそれを語っていた。
「じゃあ、俺達はこれで」
生徒会室を出た黒木達は、部室に戻る為に歩を進めた。
黒木は面倒事に巻き込まれたような気がしてならなかったが、気のせいだと自分に言い聞かせることにしたのだった。
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