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「悪戯、ねぇ。この学校のセキュリティはそんなに甘いのかしら」
藍は顎に人差し指を当てて考え出した。そんな仕草も、黒木にはとても可愛いらしく見えてどぎまぎしてしまうので目を反らす。
「藍、今日は二人で残って調べないか? 定期的にやってる奴の仕業じゃないみたいだから、ローテーション組んでさ」
「ふっ、二人で?」
「何だよ、嫌か?」
苦笑しながら藍に訊ねる。彼女は顔を真っ赤にして慌てた。
「そ、そうじゃなくて……、だって、夜に男の子と二人きりなんて初めてだし……」
「別に何もしねーよ」
「何それ。私には何の魅力もないってこと?」
「別にそういうわけじゃないんだが……」
むすっとしたように歩を早めた藍。実は彼女なりの照れ隠しだったのだが、甲斐なしの黒木がそれを知ることはなかった。
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