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「ともかく、あの生徒会長の頼みだ。受けないなら予算はなくなる……、別に困るわけじゃないけどな」
部室に戻るなり、黒木はそんな適当なことを言って、導線がつけられた豆電球を取り出した。
藍はそれに見覚えがある。まだ「魔力後遺傷」に体を侵されていた頃、黒木が自分に魔法を教える為に使ったものだ。
「さて、そこの俺の弟子一号!」
黒木が向けている視線は明らかに自分に向けてだったが、藍はそれを完全に無視した。
「桐原藍さーん? あれ、魔法教えたのって、俺だよな?」
「秀介は理論ばっかで実演は一回だけだったじゃない。教えてくれたのは魔法部の部長よ」
「あぁー、確か……、守屋だったかな……? ん? 守屋……?」
ふと、黒木は鈴姫を見た。
人の名前を覚えるのは得意ではないが、歓迎すべき新入部員の名前くらいは覚えている。
鈴姫。守屋鈴姫。確かに彼女はそう名乗っていた。
「守屋亮太っていうのは、まさかお前の兄貴か?」
黒木が鈴姫に詰め寄ると、彼女はたじたじになりながらも頷いた。
守屋亮太、守屋鈴姫。
まさか卒業した魔法部の部長に妹がいるとは……、黒木は内心かなり驚いていた。
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