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その夜、黒木秀介と桐原藍の二人は、学校で合流した。
生徒会長の頼みだが、本来ならば警察や学校職員、警備会社などが動くべき……。
それをしないのは、どうしてだろうか。黒木はそんなことを怪訝に思っていた。ニュースになっている風でもなく、校内で噂にすらなっていないことだからだ。
「よ、夜の学校って不気味だよねぇー」
暢気そうに藍が言う。明らかに怖がっていて、黒木の袖を掴んで離さない。
「歩きづらいんだが……」
「だってだって……」
魔法が使える世の中だから心霊なども認められるのかと問われれば、それはハッキリと否定できる。
「魔法には科学的根拠があるんだ。心霊という漢字が示すように、霊というのは心。つまりは精神的なものが噛んでいるとしか……」
「別に幽霊なんか信じてないもん」
「その割りには、俺の腕がずっと占領されてるな……。もしかして、怖いのか?」
「だ、誰が!! ば、ばばば馬鹿じゃないの!?」
怒った彼女は、ズカズカと前へ行ってしまった。残された黒木は「やれやれ……」と溜め息を吐いた。
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