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中は真っ暗だった。一寸先は闇。外は月明かりと星たちに照らされているが、この場所は光の届かない闇。
「これの出番ですかね」
黒木が取りだした物は、どこにでもあるような懐中電灯だった。ただし、藍がそれを受け取るとかなり軽かった。
「電池なかったから、体内エアルで動かそう。できるか?」
「無理」
「あ、そ。じゃあ見てろよ」
そう言うと黒木は、電池の入っていない懐中電灯を握る。
すると、普通に電池が入っているかのような光を放ち始めた。それはまるで魔法のようで、いや、実際に魔法なのだが、普及しつつある今でも驚いてしまう。
「まあ、こんなことができるのは世界で俺だけだろうな」
黒木がさりげなく自慢すると、満足そうに中へと入っていった。藍はそれを苦笑しながらも続いていく。
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