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「黒木君、あの、今ちょっといいかな?」
その放課後だった。何処かのクラスの女子が、黒木に話しかけてきた。黒木も有名だが、彼には桐原藍という彼女がいることも有名な筈なのに。
「……何?」
相変わらず、ぶっきらぼうな返事。冷たい目。整った顔だけに、迫力がある。
たじろいだ女子生徒は上手く話せず、そのまま黙り込んでしまった。
「……用がないなら、早く帰りたいんだけど」
「う、え、あ」
何も言えなくなった彼女を尻目に、黒木は鞄を担いで歩を進めた。
と、その時だった。
「こ・の・馬・鹿・野・郎・っ!!」
「うおぉっ!?」
突如、前方からとんでもない電撃が黒木を貫通した。危うく死にかけたが、瞬間的に反対方向に体内電撃を流して相殺した。
「てめぇこら藍! 殺す気かよ!」
電圧にして二百万ボルト。制服が焦げ臭い。そんな電撃を放った犯人は、近くにいた。
左手を腰に当て、右手を黒木に翳している。微かに体が発光しているのは、気のせいではなかった。
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