呪いの人形

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「おーい、ポチ。ちょっと来い。おーい」 教室内に、奴の声が響いた。 2時間目の休憩時間のことである。 だが誰も、クラスの生徒達は干渉しない。 僕だけが自分の席を立ち、1番後ろの席の声の主、郷田信秀の机の前に立った。 「ポチ、呼んだらすぐ来る」 「・・・・・」 「あ?ハイは?」 「ハイ」 「ポチさあ。俺、今日、朝飯食って来なかったんだよ。おまえの弁当くれよ。どうせ次は英語の西田のジジイだし。授業中、弁当食っててもなあんも言わなねーし」 「え、でも・・・」 「ほら、早く持って来いよ。おま、昼はパンでも買って食えばいいじゃん」 郷田は立ち上がり、僕の腹に、パンチをくらわした。 僕は呻き、少し前に屈み、自分の鞄から弁当を出し、郷田に渡した。 「アリガト、ポチ」 僕は腹を押さえながら、席に戻った。 僕の名前はポチではない。 井口山則之と言う名前がある。 お察しの通り、奴はいじめっ子。 僕はいじめられっ子である。 高校に入学して一ヶ月ほどすると、だいたい同じクラスの同級生の性格も解ってくる。 僕は引込思案で、大人しい性格だ。 それに目をつけた郷田は僕を、パシリに使うようになった。
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