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………。
一瞬の沈黙の後に橋本は
「アイツは辞めておいた方がいいと思うよ」
とマユミに告げた。
「どうして?」
「マユミちゃんアイツの事を田中って呼んでただろ?」
「うん」
「あの日は口止めされてたから言わなかったんだけど…アイツ田中って名前じゃないんだ。本名は西村。
西村 悟って言うんだよ」
ニシムラ サトシ
マユミは信じられない気持ちで軽い目眩を覚えた
橋本は続ける
「俺マユミちゃんの電話番号を教えてもらう時に西村に聞いたんだ」
「マユミちゃんと付き合ってるのか?って」
「なんて言ってた?」
マユミは逸る気持ちを抑え切れずにいた
「よく遊んでるけど、付き合ってはいないって言ってた」
悲しみと絶望と脱力感がマユミを襲う。
何が正しくて何が嘘なのか。
見えない闇がマユミを包む。
マユミは橋本に気付かれないように静かに泣いていた。
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