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車は見晴らしのいい高台に到着した。
これから開発を進める予定らしいその土地は
舗装されたばかりの道路が幾重にも交差して
あちらこちらに住宅を建てる為の整地が施されていた。
《秘密基地みたい》
マユミは高揚していた。
高台の頂上に車を停める。
周囲には無数の木がそびえ立ち
小さな林のようになっていたが
その一画だけは
空に取り付けた窓のようにぽっかりと空いていて
幻想的な街の光の束をマユミに届けてくれた。
「キレイ…」
マユミと西村はしばらくの間
無言のまま夜景を見つめていた。
気がつくと2人は手を繋いでいた。
車内の空気が徐々に熱を帯びてくる…
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