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この日、マユミは
西村のついていた嘘には
何も触れなかった。
触れられなかったと言った方が正しいのかも知れない。
責めたい気持ちはあったが
いざ西村を前にすると何も言えなくなった…。
だが
１つだけハッキリとした事がある。
《サトシは何も変わってはいなかった》
マユミが期待して思い描いた西村は存在せず
そこには以前と変わらぬ西村が居ただけだった。
慌ただしくマユミを抱いて
何処へともなく帰ってゆく…。
そんな西村が存在していただけだった。
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