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部屋に戻り改めて少女を見た時、私は自分の目に狂いが無かった事を知った。
この少女は――生ける芸術だ。人類を作りし神の、唯一無二の至高の作品なのだ。
診療所では見るも無残な姿だったが、しっかりと体を清めてやれば、その美しさに比肩する人間などこの世に存在しない事が判然とする。
爪先から踝、白く美しい脛。
小ぶりな膝小僧に、程よい弾力を持つ腿。
歯型のついた腹部に、申し訳程度に膨らんだ乳房。
絞められた痕らしき青痣の残る首筋。
木目の細かい腕から指先。
聖母を思わせる整いすぎた相貌。
――何もかもが、類を見ない程に美しい。
無慈悲に傷付けた屑を八つ裂きにしてやりたいと思わせる程に、この少女の姿は美しすぎた。
体の傷は、いずれ癒えるだろう。幸い痕が残る程に深い傷は無かったから。
心の方は壊れてしまった様だが、それも私には都合の良い事だった。
発見時の少女の状態から考察するに、少女の細く白い裸身を囲っていた男は十数名。時間にして凡そ五~六時間もの間、少女は男たちの嬲り 者にされていたのだ。
下手に記憶が残っていると、精神面の看護が面倒である。陵辱された苦が原因で自殺をしてしまったら目も当てられない。
しかし、本能の方はこれ以上の苦痛を拒絶しているのか……飲食物が少女の喉を通る事は無かった。
栄養失調で少女の体が醜くなるのは困るので、私は栄養剤を少女に投与する事にした。
少女にセパレーツの白いドレスを着せてやり、私の使っていたベッドを与えてやった。
寝室を少女に宛がった代わりに、私は居間で寝るようにした。本来寝る場所では無い部屋で睡眠をとっても疲れが抜けなかったが……それも、 直に慣れる事だろう。
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