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昨日の話の流れから、俺には望んでもいない元狼の同居人ができてしまった。 と言っても今その話に触れている時間はあまり無いんだ。 何故なら、今日は授業があるから。俺ちゃんと学生やってますからね。 それでまあ昨日かけたと思った目覚まし時計が何と電池切れで作動していなくて寝坊。ふざけんな。 おかげで朝からバタバタしています。ちくしょう。 ちなみに狼…じゃない、仁くんは今ご起床なさったようで。 改めて仁くんを見ると、昨日変身(?)したあとに裸でうろうろされるのは嫌なので俺のスウェットを着せていた。が、見事にちんちくりん。 首まわりの緩いものなのに何故かきつそうに見えてしまうくらいだ。 ズボンも七分丈になっている。 別に、悔しいとか、思って、ない…かも。 「おい、何そんな急いでんだよ」 「今日は午前から講義なの!」 「講義?」 「あああー大学。俺大学生なの。分かる?」 「大学は、分かるけど」 「分かるけど、何よ」 「黄は高校生だと思ってた」 「…追い出すよ」 ボソッと呟いただけで仁くんは黙り込んでしまう。 あ、何これ。最強の呪文じゃん。 これからずっとこれ使えるじゃん。 って、ああ、今そんなこと言ってる場合じゃないんだ。 俺今日の一限目のやつ単位危ないんだって。 「じゃあ俺もう行くけど、家で大人しくしててね」 「俺も行きたい」 「…嫌」 我が儘を言い始める仁くんを置いて玄関を開ける。 ああ、今日は晴れだ。 洗濯物干しておけばよかった。 カラッと輝く太陽は眩しくて、とても暑かった。 そんなことを考えながら駅まで走る。間に合うかは解らない。けど、途中で体力が尽きるのは自分で言うには情けないが目に見えた。 「おっはよーキノちゃんっ!」 「…ああ」 「ちょっと!朝は元気に挨拶が大事なんだよ!!」 大学の門の所で後ろから飛びついてくる馬鹿、緑場さん。 朝大事なのは挨拶よりも相手の顔色を伺ってまず元気かどうかを確かめることだと思う。
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