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「え、犬拾ったのー?」 「うん、まあ……犬…的な」 「自分のご飯すらまともに食べれてない癖に大丈夫なの?」 「………煩いバカ」 仁くんのことをまんま話す訳にはいかないけど誰かに相談したくて遠回しに話してみた。話してみたはいいけど何の解決にもならない上に馬鹿にされた気がする。 いや、そりゃ、確かにね、自分のご飯よく食べ忘れるし、冷蔵庫空っぽかお酒しか入ってないときあるし、一日中寝てたり、逆にゲームやってて一日中起きてたり、うん犬っていうか動物を育てられる生活じゃないな。 ていうか今思い返してみるとこの生活じゃ動物どころか仁くんにまともにご飯をあげることもできないじゃないか。 …や、でも仁くん自分でご飯作ってたな。 「まあ無理っぽくなったらいつでも緑場さんを頼りなさい!」 「えー……、頼りにならなさそうだしな…」 「なんだとっ!こら!」 「っは、やめ、こしょぐんな…っ」 馬鹿でかい大学のカフェテリアで話していた為、こしょぐられて笑い出せば周りから注目を浴びる。 ほんとこいつ馬鹿なんじゃねえかな。 そのあと俺が本気で緑場の腹を三回殴ったのは仕方ない。 緑場に相談したことを少し悔やみながら玄関の鍵を開ける。 ていうか本当に住むのかな。住むっていつまで。悩めば悩むほど答えが見つからない気がして、紛らわすようにドアを開けた。 「ただいま、って返事とか無いか」 「あ、お帰り」 …うわ、今ちょっとジーンとした。 玄関の所にまるで亭主関白な妻かのように帰りを待っていた仁くんを見てかなりジーンとした。 今まで癖でただいまとか言ってたけど、勿論一人暮らしで返事が返ってくる訳もなく。それを寂しいと思ったことは無かったがやはり返ってくるというのはやはり嬉しい。 「何ニヤニヤしてんの?大丈夫?今結構危ない顔してるよ?」 …やっぱり嬉しくない。こんな口悪い奴、大嫌いだ。いや、大嫌いは言い過ぎた。好きじゃない。 ちらっと仁くんを見ると相変わらず俺の少し小さめな(俺からしたら丁度いいんだけど)スウェットを着ながら、ん?と言うように小首を傾げていた。 うわ、何このイケメン。じゃなくて、そうか、服それ以上のサイズなんて無いから何着せてもキツくなっちゃうのか。 首周りや腕がキツそうだ。
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