1 拾い物

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 二人でアンカーに触れる。目を閉じ思考を上方へと向ければ、プツッと意識が途切れた。 *-*-*-*-*-*-*  ぷはぁ、と大きく息をついて、視界を遮るバイザーを外す。オーガニックな内装の部屋とそれに合わない無骨なコンピュータ群が目に映る。 「あー、疲れたぁ……」  椅子に体重を預け、手足の力を抜く。今日のダイブはいつも以上に疲れた。次からはアリアドネの糸を持っていった方がいいかもしれない。いつもは座標に頼って戻っていたが、今日のように座標軸が分からない場所ではそれも出来ない。  と、扉が開いた。 「シュウ」  カムロだった。とてとてとこちらに近付き、おもむろに抱きついてきた。 「あー、はいはい、お疲れ様です」  いつもの事なので特に気にせず、ポンポンと頭を撫でてやる。カムロは猫のように喉を鳴らした。器用な事だ。
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