1 拾い物

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 彼はあまり喋らないが、こうしたコミュニケーションをやたらと好む。身長も高く自分よりも年上なのに、ずっと年下に、あるいは大型犬のように見える事が多いのはこの辺りが原因だろう。  当分離れる気配がないので、片手でコンソールを叩く。先程拾ったファイルの中身を確かめるためだ。  念のためにウィルスチェックなどの一通りかけてから文書ファイルを開く。しかし、画面に映った文字列に眉をしかめた。暗号化されている。よほど重要なファイルなのかと考えたが、それならもっと色々とプロテクトがかけれているはずだ。  少し考えて、バックアップを取ってから手元の複合化プログラムをかけてみる。……だがどれも文章として意味を成さない。困ってしまい、頭をかいた。 「シュウ、どうした?」  肩に顔をうずめ上機嫌だったカムロが顔を上げる。
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