1 拾い物

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「ああ、いやちょっと……さっき拾ったファイルなんですけど、暗号化されてて読めなくって……」  読めないと中身が気になる。かといってシュウはハッカーであってプログラマーではない。暗号化と複合化は一通り勉強したが、普段使わないためすっかり忘れてしまった。  どうしようか考えていると、ぽつりとカムロが呟いた。 “餅は餅屋” 「モチ?」  東方の言葉で言われたため、意味が分からなかった。 「えっと、専門家に任せろとかそういう意味だった気がする」 「ああ、なるほど……」  言い直してもらい、納得がいった。確かにそれは一理ある。 「……もう少し試してみて駄目そうだったらそうします」 「ん」  再びカムロは首に顔をうずめてきた。くすぐったいので止めてほしいのだが、言うだけ無駄だという事もよく分かっていた。
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