2 気まぐれと出会い

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 アンカーを設置し、準備を整えるとバイザーを被った。一瞬意識が途切れた後に広がるのは広大な空間だった。  座標位置とステルス、エイリアスがきちんと動作しているかを確認する。何かがあっても逃げ出せる準備はしてあるが、足が付かない努力は怠らないようにしなければ。  念入りにチェックしてから行動をスタートさせた。アンカーから離れ、深く深く潜っていく。  しばらく行くと、目的地が見えた。高いフェンスに囲まれた、古びた巨大図書館――の姿を模した、電子アーカイブ群。ご丁寧に有刺鉄線で飾られたフェンスに触れないよう、飛び越える。警報装置がつけられているフェンスとは違い、壁や窓は飾りに過ぎない。すり抜け、内部へと入った。  自らよりも背が高い本棚の森に、ぎっしりと本が詰まっている。活字嫌いが見たらこの光景だけでめまいを起こしそうだ。レイアウトが変わっていないか注意しながら、ある一箇所を目指す。
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