2 気まぐれと出会い

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 幸いにもデータの入れ替えはされておらず、青年は難なく目的の本がある棚へと着く事が出来た。他と変わらず本がすし詰めになっているそれに手をかざし、プログラムを起動する。  すると、青年の周りに十数冊もの白紙の本が出現した。同時に本棚から次々と本が飛び出し、独りでに開く。パラパラとページが高速でめくれ、白紙の本に同じ内容が書き込まれていく。  欲しいデータがあった。あちこちを見て回ったが、望む解答は得られないでいる。ここになら答えがあるのではないかと期待していた。  流石にプログラムに任せると早い。内容を写し終わったデータは三十個を越えるが、一段目が終わった辺りだ。もう少しCPUを割り振れればいいのだろうが、そうするとステルスやエイリアスを切らなければならない。自らは何も出来ない時間を親指の爪を噛む事で誤魔化す。
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