2 気まぐれと出会い

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 人影は青年を抱え上げた。一瞬狼狽するが、すぐに気持ちを切り替えコンソールを叩く。速度強化、防御強化、演算補助。逃げるために必要なエンチャントを行っていると、人影側の能動ウォールの使用許可が与えられた。使え、という事だろう。 「逃げんじゃねぇよクラッカーども!」  先程よりも小さな光球が数十個カーマの手のひらから放たれる。 「っ!」  光球のルート上に小規模な能動ウォールをいくつも展開し、途中で爆発させて食い止める。ごりごりとCPUの余裕が減っていくが、直接当たれば一気にエイリアスの分まで削られるであろう事はたやすく想像出来た。  ガシャガシャと本棚の上を跳び走るカーマの行く先を阻害するようにアタックデータを飛ばすが、どれも受動ウォールで消されてしまう。よっぽど優秀なCPUを積んでいるらしい、飛んでくる光球の数が減る気配はない。
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