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……いや、あるいは。
「おい、少しエンチャントを切るぞ」
「え? おう!」
人影に声をかけてから防御強化を切る。その分のCPUを全てアタックデータに回し、無数に分割して飛ばす。先程飛ばしたものよりも威力は格段に低い。
「ハッ、その程度効くかよ!」
効くとは思っていない。数が大事なのだ。もう一度同じ量のアタックデータを飛ばす。一時にではなく、少しずつ時間差をつけて。
「その程度の小細工……っ?」
突如、カーマの動きががくんと鈍った。本棚の間を跳んでいたところで、わずかに届かず後ろに倒れる。
「しまっ――!」
派手な音がした。恐らく床に落ちたのだろう。所詮電子空間なので怪我はしないだろうが、時間稼ぎにはなるはずだ。
「オーバーフローか!」
「そう」
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