2 気まぐれと出会い

9/13
前へ
/138ページ
次へ
 ……いや、あるいは。 「おい、少しエンチャントを切るぞ」 「え? おう!」  人影に声をかけてから防御強化を切る。その分のCPUを全てアタックデータに回し、無数に分割して飛ばす。先程飛ばしたものよりも威力は格段に低い。 「ハッ、その程度効くかよ!」  効くとは思っていない。数が大事なのだ。もう一度同じ量のアタックデータを飛ばす。一時にではなく、少しずつ時間差をつけて。 「その程度の小細工……っ?」  突如、カーマの動きががくんと鈍った。本棚の間を跳んでいたところで、わずかに届かず後ろに倒れる。 「しまっ――!」  派手な音がした。恐らく床に落ちたのだろう。所詮電子空間なので怪我はしないだろうが、時間稼ぎにはなるはずだ。 「オーバーフローか!」 「そう」
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

83人が本棚に入れています
本棚に追加