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受動ウォールは便利だがプログラムによる自動展開なので融通が利きにくい。設定にもよるが、メモリの無駄が多かったりするし、一度展開してから閉じるまでに時間がかかる。それこそミリ、ナノ秒の世界だが、充分だ。どんなに優秀なCPUを積んでいても、数が多ければ対処しきれない。
元々爆発型のアタックデータはメモリを食う事もあって、何とかオーバーフローまで持ち込めた。すぐに回復するだろうが逃げるには充分な時間が稼げた。
壁をすり抜け、人影はその勢いのまま、地面を踏み蹴る。高く高く跳び、有刺鉄線が巻かれたフェンスを越えた。
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したたかに背中から床に落ちたカーマは、腰をさすりながら起き上がった。
「あつつ……」
受動ウォールが働いたものの、オーバーフローの影響でダメージを減らしきれなかったため、かなり痛い。
「……ちっ、逃げられたか」
館内をスキャンするが、自分以外誰もいなかった。追撃し駆除しろ、とは言われていないため追いかけないが、かなり悔しい。
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