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「おい……!」
攻撃意思がないので受動ウォールは発動しない。けれど不快だ。振り払おうとして、耳元に口が寄せられる。
「俺はMCを知っている」
「――ッ!?」
衝動のままに展開しかけていた能動ウォールを畳んだ。驚き、人影を見る。黒くて表情など分からないのに、にぃっと笑ったような気がした。
「パートナーの件、考えといてくれよな。じゃあな!」
パッと身体を離すとアリアドネの糸を使い、瞬時にその場から消えてしまった。しばらく呆然と人影がいた座標を見てから、握らされた名刺を見る。
あいつの名前はランドと言うらしい。普段ならさっさと捨てているところだが、気になる事を言っていた。それが事実なら――
「……くそっ」
何もかも不愉快だ。名刺をデータフォルダに入れ、アンカーを設置した座標に向かった。
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