23.帰る場所

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そこからは冷静だった。 バーのカウンターには、カクテルを作る為の果物ナイフがある。フラフラとそこに歩き始めて、何度か止められたような気がする。 でも…私の瞳には、ナイフしか映っていない。 「ミチル!?」 「ミチルちゃん!」 「オィ!!」 誰の声?ソラ?イオリさん?キョウさん? 「あぁぁぁぁぁ!!!」 握りしめたナイフを振りかざし、左手首目掛けて下ろし 散った……。 ……赤い、赤い、 花びらが。 綺麗だと思った。 スローモーションのようにゆっくりと目の前に散らばる赤が。 よかったって思う。 身体にあるものが、黒くなくて。 でも、何故だろう。 痛くない。 遂に、神経まで可笑しくなったんだって思った。
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