古びた時計は重く針を動かす

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 治った右足を使い、カナタは走って、男子高校生達の後を追った。 辿り着いたその場所は、商店街を抜け、古いビルとビルの間の細い路地裏。 高校生達の後ろ姿から見える隙間に、ファイティングポーズをした夕夏の姿がそこにあった。  『かかってこいよ。お前ら、殴る勇気もねぇのかよ』  『んだとぉ!?中坊のくせに生意気なこと言ってんじゃねぇヨ』 ―ガッ、ゴッ、ドン― 高校生達に囲まれ、夕夏はぼこぼこに蹴られ、殴られる。 殴られながら、夕夏は何故か笑っていて、不気味だった。  『あはは、もっと殴れよ、うちを傷付けろよ』 カナタは、その様子を見て高校生の間をかき分け、夕夏の元に駆け寄り、声を掛ける。
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