古びた時計は重く針を動かす

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 カナタの傷を目の当たりにした高校生達は、怯んでその場を立ち去って行った。 高校生達が、いなくなると、カナタは足をガタガタと震わせ、膝から落ちた。  『よかっ、良かったぁ~。まだ、手が震えて止まらないよぉ』 両手を見て小刻みに震えているカナタを見て、夕夏は後ろから駆け寄り、強く抱き締めた。  『あんた、そんなに震えて…。喧嘩何かしたことないんだろ?』  『うん、ないよ。でも、夕夏さんが傷付くの見ていられなかったから…』  『そっか…ありがとうな』 ふたりとも涙ぐんでいた。 それ以上の言葉はいらない。 暫く抱き締め合い、温もりを互いに感じる。 それからは、互いに悩んでいたことを話したりと、出逢って2回目にはカナタと夕夏は、なくてはならない存在に変わった。 夕夏とカナタは、絆を深め、夕夏は絆の証として、無意味な喧嘩をするのを二度としないと誓った。
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