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………………
山崎は、ある部屋の前で立ち止まる。
「副長!山崎や。
入ってもええですか?」
「ぁん?山崎か……。構わねぇぞ、入れ。」
その言葉を聞くと、襖を開けて中に入る。
私は腕を掴まれたまま、部屋に引きずり込まれる形となった。
部屋の中には大量の書類らしき物。
隅のほうに机が一つ置いてあり、その前に煙管を持った男が一人座っていた。
……恐らく、奴が土方だろう。
土方は引きずられた私を見て、怪訝な表情をする。
「おい、山崎……そいつは誰だ?」
「さっき報告しましたやろ、例の奴ですわ。」
「あぁ、こいつが……。
まぁとりあえず座れ。お前が焦ってるって事は、相当な事なんだろ?」
土方は端に置いてあった座布団を三枚掴み、二つを投げてよこす。
私達はそれぞれ座布団に座った。
「副長、早速なんですが……。
こいつが起きてから話を聞くと、自分は全てを知っとると言い張るんです。もちろん、新撰組の事も。
さっきの感じでは、こいつは芹沢さんの事も知っとるような口ぶりやったんです。
どないします?」
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