蘇芳色の乙女

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君は僕の手を見ては “陶器の人形みたいだね”と 何度も言っていた そして 僕の手を 割れ物のように そっと握り やさしく微笑んでいた なのに 君は一体 何処で間違ってしまったの? そして 僕も 裏切ったのは 君か それとも 僕か 果たされなかった約束は 僕が壊してあげる 君を自由にさせるふりをして 君を永遠に離さない 君が綺麗だと言った この手で 君が大嫌いだと言った この刃を握り 君が恐ろしいと言った 蘇芳色の血で 君も僕も 同じ紅の衣を身に纏う 君はもう動かないけれど 僕は君を愛してあげる 悪いのは君じゃなくて 僕
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