運命の日

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 あれから、どれほどの時間が経っただろう。  自分の瞼を通してでも感じる光が僕を包んでいた。  体の痛みもない。  力も入るようだ。立ち上がってみたが、まだ頭の奥の方を揺さぶられているみたいに意識がクラクラとしてる。  それに瞼を開けて周りを見渡してみても、全てが真っ白で何も映らない。 「やっと、起きましたね」  不意に、後ろから呼び掛けられた。慌てて振り向いたがやはり光のせいで見えない。 「あ、すいません。少し、照明が強すぎましたね」  こっちの事情に気付いたのか申し訳なさそうな声がしてから、徐々に辺りが見えるようになってきた。  僕の目の前には、小さな天使が立っていた。
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