片鱗

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「たしかに、あの事は音楽が関係ないとは言わない。でも音楽のせいにして逃げるな」 そう言ってナオは控え室に入っていった。 禅は何か言いたげな表情をしていたが、歯をくいしばって言葉を飲み込んだ。 「……あのさ、禅」 沙希は禅の目をまっすぐ見て言った。 「わたしと、やらない?禅もギターを持って行ってわたしに手本を見せてくれるだけでもいい。だから……」 禅は1つ大きなため息をついて尋ねた。 「なんでお前は俺にこだわるんだよ?」 すると沙希と翔は顔を見合わせて、ニカッと笑った。 「「友達だから!」」 そして2人は禅の両手を引っ張ってステージの前に向かった。 禅は手をぐいぐい引っ張る2人の背中を見て、 呆れたように笑った。 「お前らは物好きなバカだな」
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