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携帯の表示を見ると、結衣からの電話だった。
「もしもし」
『あっ禅。今大丈夫?』
「大丈夫。ギターのチューニングしてただけだから」
電話越しに結衣がクスクス笑うのが聞こえた。
『調子はどう?楽しくやっていけそう?』
禅は少し考えるように間をおいて言った。
「……わかんない。少なくとも、昔みたいに新しく曲を作ろうとは思えない」
『……そっか。わたしは禅の歌が好きだから残念だけど、無理に作っても満足いくものは作れないもんね』
「……うん。でも、今はギターをいじるのが楽しいから」
禅の言葉に、結衣が安心したようにフフフと笑った。
『……ねぇ、禅』
「ん?」
『いつかまた、禅と同じステージに立てるの楽しみにしてるよ。じゃあおやすみ』
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