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「……ウソ。絶対にありえない!」
沙希はマコトの言葉を拒絶するように首をブンブン振った。
「禅は――!」
「音楽が好きで口は悪いけど仲間思い、か?」
その言葉に沙希はハッとしてマコトの目を見た。
すると、マコトの目は怒り、悔しさ、悲しみ、そういった感情がまざっていた。
「禅は俺たちより4つも年下だけど、すげぇ奴だって思ってた。仲間だって思ってた。その結果があの裏切りだ。……お前も気をつけるんだな」
マコトはそう言うと控え室に入っていった。
沙希は動揺しながらその背中を見送り、控え室の扉が閉じると、禅の方を見た。
禅は相変わらずナオと話をしていて、新しいタバコに火をつけるところだった。
沙希はその様子を見て、ブンブン首を振った。
(何かの間違いだよ。禅はそんなことしない。……信じるって決めたんだから)
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