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沙希は禅を追って外に出ようとしたが、ナオに腕を掴まれて止められた。
「あの、禅を追いかけたいんですけど……」
沙希は掴み所のないナオが少し苦手だったので、おずおずとそう言うとナオは首を振った。
「今は1人にしてやれ。少なくとも、今回のライブが終わるまでは」
ナオの言葉を聞いて、沙希は出口をみながら少し悩んでから頷いた。
「……あの、ナオさん。1ついいですか?」
「なんだ?」
「……禅は、わたしに話してくれると思いますか?」
沙希が困ったような、心配しているような表情で尋ねると、ナオはタバコに火をつけて答えた。
「……お前はマコトからは話を聞いたんだろ?」
マコトの言葉に、沙希は気まずそうな顔で頷いた。
「なら今禅と組んでいるお前も無関係とは言えないからお前から尋ねてもいいんじゃないか?」
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