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それから沙希は一度大きく深呼吸してから、片手を挙げてスタッフに合図を送った。
照明が消え、暗闇にのまれた。
観客の顔は見えない。
ストリートでやってる時に見えていたモノが見えない。
少し不安になる。
だから禅を見た。
すると禅は、
笑っていた。
禅と目が合った。
『楽しまないと損だ』
そう言われた気がした。
昔の仲間に会って、
詳しくはわからないものの、
彼らとの間に辛い過去を背負う禅が楽しそうに笑っている。
(わたしが楽しまないでどーするのって話だよね)
沙希は心でそう呟くと、禅に頷きかけてギターを奏で始めた。
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