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沙希たちの歌は『聴かせる』歌。
『盛り上げる』歌ではない。
だから歌詞の１つ１つに想いを込める。
ギターの腕前も、禅のおかげで上がっている。
曲も禅が編曲しているし、禅のキーボードも、サブボーカルも歌っていて気持ちよくさせる。
ＭＣは慣れていないため、あまり喋らず歌う。
ライトアップされたステージからでは、暗い場所にいるオーディエンスの表情はよく見えない。
でも自分たちを見ている。
自分たちの歌を聴いている。
表情は見えなくてもそれがわかった。
だから沙希は顔がほころび、歌っていることが楽しくて仕方なかった。
歌いたい。
聴いてほしい。
そんな感情を押さえられなかった。
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