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外に出ると、ほてった体に冬の冷たい風が気持ちよく吹き抜けた。 「よう」 すぐ横にいた禅に声をかけられた。 「すごい楽しいねぇ~。ライブの後っていつもこんな感じなの?」 沙希が嬉しそうに尋ねると、禅は楽しそうに苦笑した。 「そんなわけないだろ。マサさんたちはプロだから特別だよ。毎回やってたらライブハウスの人たち1ヶ月のうちにどんだけ宴会やるんだよ」 「それもそっか」 そう言って沙希は声を出して笑った。 「禅ってさ、無愛想だけど最初と比べたら表情が豊かになったよね?」 沙希がニコニコしながらそう言うと、禅はため息をついた。 「お前がギャアギャア騒いで俺を巻き込むからだろ」 その言葉に沙希は気を悪くした様子もなく楽しそうに笑った。
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