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それから佳奈は一言も話さなかった。 禅は元々静かな空間が好きだったし、佳奈の様子もそれほど気にとめていなかった。 だから居心地の悪さを感じることはなかった。 しばらくしてケイゴたちと合流してマコトと茜を残して移動した。 そしてその夜、マコトから禅にメールがきた。 『うまくいったよ。 サンキューな』 こうしてマコトと茜は付き合い始めることになった。 マコトはちょくちょく禅たちの前でノロケていたし、茜も会った時にはいつもマコトの隣で笑っていた。 だから禅も、リョウも、ケイゴも、2人がうまくいっていると思っていた。 当の本人もそう思っていた。 しかしこの時、すでに歯車は狂い始めていた。
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