5105人が本棚に入れています
本棚に追加
そして禅の胸倉を掴んでもう一度殴ろうとした。
禅の思考の停止した頭は警報を鳴らしていた。
禅は思わずマコトを突き飛ばし、アパートを飛び出した。
どこに行くなんて考えていなかった。
考えられなかった。
ひたすら雨の中を当てもなく走った。
息をするのが困難になるまでひたすら走り続けると、視線の先に公園が目にとまった。
禅はフラフラと吸い込まれるように公園に入っていった。
そしてベンチに座って息を整えた。
雨のおかげでずぶ濡れで、張り付いた服が気持ち悪い。
(……なんでこんなことになったんだろう?)
そう問いかけたところで、答えは出なかった。
マコトの怒り。
茜の告白。
マコトと茜の関係。
ただ漠然と不安があるだけ。
最初のコメントを投稿しよう!