君の唄が響く丘

食卓

初ライブ以降、禅と沙希は月に２回のペースでライブをしていた。

人生初めてのライブで沙希はライブをするのが好きになっていた。

またそのライブがなかなか評判がよかったため、ライブハウスからもやらないかと連絡がくるようになっていた。

そして３月半ば、春休みに沙希が禅のアパートに押しかけてきた。

沙希は不機嫌そうな顔でアパートに入ると、何も言わず黙って座っていた。

「お前が急に来るのはもう慣れたけど、どうした？なんか怒ってるのか？」

禅が少し身をひきながら尋ねると、沙希はボソッと言った。

「……しばらく泊めて」

「はぁ!?なんで!?」

禅が顔をゆがめて尋ねると、沙希は眉間に皺をよせた。