食卓

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沙希はニッコリ笑った。 「ありがと」 「……でも、渡利あたりは騒ぎそうだな」 禅がそう呟くと沙希はキョトンとした。 「翔が?なんで?」 「なんでって……」 『翔は沙希が好きだから』 という理由だが、禅が言うわけにもいかないのでため息をついてごまかした。 すると沙希がポンと手を叩いて言った。 「禅とわたし、つまり男と女が一つ屋根の下なのが問題なんだ。翔って案外そういうの気にするもんね」 (お前にだけだよ……) 禅はそう思ったが、口には出さずため息をついた。 そんな禅に気付いているのか気付いていないのか、沙希はギターを取り出していた。
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