5105人が本棚に入れています
本棚に追加
沙希はニッコリ笑った。
「ありがと」
「……でも、渡利あたりは騒ぎそうだな」
禅がそう呟くと沙希はキョトンとした。
「翔が?なんで?」
「なんでって……」
『翔は沙希が好きだから』
という理由だが、禅が言うわけにもいかないのでため息をついてごまかした。
すると沙希がポンと手を叩いて言った。
「禅とわたし、つまり男と女が一つ屋根の下なのが問題なんだ。翔って案外そういうの気にするもんね」
(お前にだけだよ……)
禅はそう思ったが、口には出さずため息をついた。
そんな禅に気付いているのか気付いていないのか、沙希はギターを取り出していた。
最初のコメントを投稿しよう!