月夜

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沙希は八重歯を見せてニヤリと笑った。 「わたしの歌を1曲でいいから聴いて感想言って♪」 「……帰る」 禅は腕を掴む沙希を引きずりながら無理矢理歩いた。 「わっ!ちょっ!こけ!こける!」 沙希はバランスを崩して転んだ。 禅はそれを無視して歩きだしたが、沙希とは違うさらに力強い手に掴まれた。 その手は無理矢理禅を振り向かせた。 「……お前か」 禅の腕を掴んだのは翔だった。 「話は聞いてた。1曲くらい聴いてけよ」 翔は相変わらず敵意むきだしの目で禅を睨んでいた。
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