食卓

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禅の問いに沙希はコップを手で遊ばせながら、無表情で頷いた。 「わかってる……」 そしてコーヒーを一口飲んで淡々と言った。 「お父さんはきっと、わたしが反対したら再婚はやめると思う。……でもお父さんがあの人と再婚したいって思ってるのは本気だから反対できないんだよ」 すると、禅はコーヒーでパンを飲み込んで尋ねた。 「お前は父親が再婚して、また家族として一緒に暮らせるのか?」 その問いに、沙希は首を振った。 「それはありえないよ。今さらあの人をよく思えるわけがない」 沙希がそう言うと、禅は立ち上がって台所に向かった。
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