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「なんでもいいからさっさとやれよ。
それと、1曲だけって約束忘れるなよ」
禅が念を押して言うと沙希は少し不機嫌になって言った。
「じゃあわたしのオリジナルやるからね。
ちゃんと感想聞かせてよ?」
沙希の言葉に、禅はため息をついて頷く。
それを確認すると、沙希は一つ深呼吸をしてからギターを弾きながら歌い始めた。
禅は中途半端な感想を言ってもう1曲と言われるのが嫌だったため、真剣に沙希の歌を聴く。
(……いい声してるな)
素直にそう思った。
沙希の歌声は澄んでいて、よく晴れた春の朝に鳥の鳴き声を聞いたような清々しさを感じさせた。
夜の駅前の様々な音が聞こえなくなる。
そう感じるほど沙希の歌声に引き付けられた。
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