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「……お前さ、雨好きか?」
突然禅が沙希に尋ねた。
沙希は一瞬キョトンとしたが、すぐに首を振った。
「嫌いだよ。わたしは晴れが1番好き」
その答えに、禅は苦笑した。
「だろうな」
「禅は好きなの?」
沙希に尋ねられて、禅は少し悩んで首を振った。
「昔は好きだった。今は……マコトたちとの件を思い出すから嫌いだ」
沙希はハッとしたが、それに気付いた禅が、気にするなといった表情で首を振った。
すると、沙希は気まずそうに尋ねた。
「……昔はどうして好きだったの?」
その問いに、禅は一瞬悩んで答えた。
「……雨がやんだ時に空気が澄んでるし、虹もかかるだろ?」
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