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禅の言葉に、沙希はクスクス笑った。
「虹って……、禅って意外とロマンチストだよね?」
「……うるせぇ」
禅が不機嫌そうにそっぽ向くと、沙希はまたクスクス笑った。
しかし次の瞬間、真顔になって尋ねた。
「でもさ、雨が好きって理由はそれだけじゃないんでしょ?」
その言葉に、禅は顔をゆがめた。
「……なんでそう思うんだ?」
禅の問いかけに、沙希は屋根から滴り落ちる雨粒を見上げながら言った。
「禅はロマンチストだけど、理屈っぽいところもあるから。だからきっとなにか隠してるって思ったの」
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